思い出すのは最初に長く勤めた会社の年度末(今年の実業団ニューイヤー駅伝で18年ぶりに優勝した会社です)。営業時代は、予算達成に向けた受注の追い込みで休日なしの連日深夜勤務。22時を過ぎると事務所に「期末食」が配られ、その時間帯には続々と営業マンが商談から帰ってきます(住宅業界の外回りは夜の顧客自宅訪問です)。事務所はいつも殺気立っており、ペーペーだった僕は先輩たちの鬼の形相にビビっていました。本部の管理部門に異動した後は、4月初めの決算処理で書類を掻き集めて決済に回す作業が時間との闘い。これは普段どんな仕事をしているかが問われる瞬間です。処理をため込んでいたりいい加減にやっていたりすると、ここで痛い目に遭います。
こんなふうに、どうしても期末期初は実務の「ヤマ」になってしまうのですが、疎かにしてはならないのは「課題の振り返りと次年度の計画」です。たいていの会社では目標管理制度があって、期初の目標に対する達成度の自己評価・申告と上司による面談、評価が行われていると思います。半期の中間評価と年度末の最終評価で「査定」が決まる制度が一般的でしょうか。
僕は若い頃、「師」であり「恩人」である上司から、この目標管理制度への執着はサラリーマンの飯のタネだと教え込まれました。アピールは期初の目標設定から始まります。組織の目標と期待されている役割を正しく理解し、それに対して意欲的な提案を含んだ個人目標を設定する。いつも自分の業務目標と進捗状況を確認しながら、随時上司とコミュニケーションを取り必要に応じて(戦略的に)助けを乞う。期末近くには目標必達で追い込みをかける。期末の自己評価では、できたことをしっかり主張し、反省点を次期への課題として前向きに表現する。文章にもとことん気を遣います。
僕がいつも意識していたのは、「半年前の自分と比較して、何か一つでも進歩、成長しているか。後退、停滞していることはないか」です。仕事の成果や実力はもちろんですが、自己評価(アピール)の仕方がうまくなっているか」も技術として意識していました。ゴマすりではなく、適切な形で上司に気に入られるのは、組織の中で損をしないための処世術としても大切なことです。勘違いしてはいけないのは仕事の成果よりアピールの方法を優先する「本末転倒」。まずは仕事そのもので実力を見せつけましょう。
さて、サラリーマンでなくなった今、僕は自分自身で目標管理を設計し、評価し、業績査定を行わなければなりません。これをきちんと行うことそのものが重点目標の一つです。中小企業の経営支援を行うコンサルタントとして組織運営のサポートをする立場ですので、「医者の不養生」にはならぬよう精進したいと思います。