東京の経営者が合宿的なイベントをやるとすれば遠出するとしても箱根か伊豆か草津か鬼怒川。または都内のホテルに籠って集中する形が多いでしょう。なぜに徳島県なのか。
僕は四国には実はこのご縁があるまで(ほぼ)一度も訪ねたことがありませんでした(「ほぼ」というのは、昔、廃止される宇高連絡船で往復して高松駅の改札を出ずに帰ったことがあるためです。四国に入国しませんでした)。いっしょに経営研究会を主宰しているパートナーが「美馬市の地方創生」に参画して、いろいろな面白いアイデアを実行に移す中で自然な流れで加わることになったのです。
会場は初日が古民家を再生したサテライトオフィス「もり邸」。江戸時代から残る「うだつの町並み」の一角です。経営勉強会、「禅と地元ミュージシャン、英語のコラボイベント」、地元食材ケータリングでの地元経営者交えた交流会と、到着早々夜遅くまで盛りだくさん。
宿泊場所は農家民宿の「柚子の里いずみ」。ここで2泊して、農家での合宿プログラムをみっちり行いました。アドラー心理学によるメンタル、モチベーション強化のセッション、脳を全開させる禅体験、ビジネスモデル、経営計画づくりワークショップ(これは僕が担当)、営業プレゼン術、電子書籍出版ブランディング(これも僕)。
濃密な内容を集中、一気呵成にこなし、終了後はすっかり燃え尽きました。
我々の話し声以外は虫と鳥の声しか聞こえない静寂。民宿オーナー(農家のお母さん)の心づくしの食事(すべて自家製)。都会のビルの中の会議室でもできるプログラムばかりなのに、とても同じことが東京でできるとは思えない。スマホもインターネット環境もあるので、田舎といっても気が散る要素は存在しているのに集中できるのです。
田舎効果、非日常効果などいろいろあると思いますが、「特別な場の力」のようなものも存在しているような気がします。徳島と聞いて「面白そう」と思って参加した人にしか分からない。インターネットや、たぶんこれからはVR、ARで分かったような気になれる時代ですが、やはり現地に行って、見聞きして体験して味わって初めて分かることは多いのです。
タイ、徳島を通じて、「旅の仲間」についてもあれこれ考えました。
数日でも、非日常の状況で同じ時間をずっと過ごして同じ体験を共有した仲間は少し特別なものになります。なぜかぐっと距離が近くなるのです。普段それほど話したことのなかった人としっかり話ができ、相手のことを今までより理解できるのです。
映画、文学の世界では、ロードムービー、ロードノベルが一つのジャンルを形成しています。旅をともにすると、移動途中や立ち寄り先で、人間関係の変化やら事件やらなにやら発生し、面白いドラマが生まれるからです。
タイでも徳島でも、大きな事件はなかったものの出来事はあり、行ったからこそのアイデアや展開も生まれました。
旅は続きます。11月はなんとロサンゼルス、12月は岐阜への里帰りを兼ねて名古屋です!