しかし時間が限られている以上、トレードオフで犠牲になったものが当然あります。それは読書量でした。毎年100冊以上、そのうち10冊ぐらいは英語原書を目安に「読書家」を自認してきたのですが、昨年に関しては「本をあまり読まない人」の水準に落ち込んでしまったのです。もちろん経営コンサルタントとしての職業柄、必要な資料は最低限読んでいますが、読書は必要、実用を超えたところにはじめて価値が出てくるものなので、点数を付ければ0点です。
そんなわけで今年は年初から、読むべき本を厳選してじっくりと読み込む態勢に入りました。読んでいないのに買うほうは怠っていないので良書の山が積みあがっています。年末の大掃除は書棚の大整理。未読でもいま読む価値を感じないものは思い切って処分し、読むべき本を目立つところに並べました。
今年の1冊目はアンジェラ・ダックワース著『やり抜く力』(ダイヤモンド社)。あらゆる分野の成功者が共通して身につけている能力は、生まれ持っての才能ではなく「長年にわたって粘り強く続けて、最後までやり抜く力(GRIT)」であることを、心理学者が自身の経験と豊富な事例研究から解き明かした名著です。自分の性格が実は飽きっぽく移り気であることに薄々気づいてはいたのだが、何が問題なのかを明確に指摘された感じである。人生でうまくいっていたとき、達成できたものを振り返ると、自分の持てるGRITを発揮していたのは間違いない。本書を読了後、「続ける、やり抜く」が意識に刻まれたようで、微差ながら行動が変容してきました。半年たってもこの気持ちが続いていればホンモノなのですが。
2冊目はグレッグ・マキューン著『エッセンシャル思考』(かんき出版)。僕は、とかく欲張りで、捨てるのが苦手で、何でもやりたがる傾向があり、キャパシティーを超えても精神力と体力で乗り切ってきました。でも、本書の教えのように「99%の無駄を捨て1%に集中する」思考と行動で成果を産み出せたらどうでしょうか。
ほぼ隙間なく埋まってしまったカレンダーを眺めながら、今年の方針を「本質(エッセンシャル)へ集中し、本質をやり抜く」に定めました。
僕自身の思考、行動もそうなのですが、中小企業診断士としての仕事にもそのまま当てはまります。中小企業、小規模事業者経営支援の中心に「本質追求」を据えて取り組んでいきます!