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第17回 属している感覚

一歩ずつ、前に進もう 2016/12/10(土) 19:26

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師走ですね。年末になると、どうしてこんなに気持ちがせわしなくなるのでしょうか。年内でスッキリ区切りがつけられる仕事なんてなかなかないし、12月決算じゃなければ年末だって普通の月末の一つです。

日本人のDNAにしみ込んだ「お正月」の存在の大きさを感じます。毎月何パーセントかずつ溜まっていた遅れを年内に一気に取り戻す、年初に立ててできていない目標を一つだけでもクリアしようとする、お世話になった方への感謝を表す。1年に一度、日本中一斉にそんな機会が訪れるのはよき習慣だし、これだけは時代が変わっても受け継がれていくような気がします。

 

 さて、かつてサラリーマンだったころ(まだ2年もたっていないのですが、遠い昔に感じます)、12月になると意識させられる感覚がありました。「所属」です。この季節、古くからの日本企業では、部署ごとに社内の「忘年会」があり、「納会」、年が明けると「仕事始め」で社長の訓示。「その中」にいたころはそれが当たり前で、「季節感」ぐらいにしか思っていませんでした。

 それがぐらついたのは40歳にして初めての転職をしたとき。ただ勤務先の会社が変わっただけなのに、足元が覚束ないような不思議な「所属の喪失感」に襲われたのです。18年近く勤務した会社に自分がもう所属していない状態がなんだか現実だと思えない。それが消えたのは新しい職場に落ち着いて人間関係もできてきた半年後ぐらいだったでしょうか。定年まで勤めあげて引退された方が「職場ロス」ともいえるアイデンティティ喪失状態に陥る理由が少しだけ分かった気がします。

 その後僕は外資系企業であと2回転職し、中小企業診断士として独立開業しました。徐々に「特定の組織」(勤務先)への帰属意識は薄れ、(錯覚ですが)「自分は組織から自由なのだ」と思うようになりました。一方で自分も含めて一体感や忠誠心が感じられない組織には「危うさ」がありました。みんな短期の、自分の目標しか見ない。こういう組織では、だから日本企業で長年、習慣化してきた行事を、あえて「計画」して行い、社員を参加させようと努力しています。

昔の同僚、先輩に会うと、「あっ、彼らは“所属”しているな」と、僕も以前は身にまとっていて今は脱ぎ捨てた何かを瞬時に感じ取ります。向こうも「あいつは“外”の人間だな」と思っている様子です。一体感、忠誠心を醸成する美しき日本的文化は「多様性」「変化」を排する「ぬるま湯」でもあります。

零細独立事業者となった今、僕は両方を客観的に見られます。組織から独立してみて「所属の喪失感が全くない」状態で心が安定しているのに驚きます。経営者、個人事業主ばかりと付き合っていると、「自分で頑張っている人間同士の強い連帯感」、「独立している仲間への帰属意識」、「自分の力で稼ぐしかない清々しさ」で、気持ちがぶれないのです。

もうすぐ40代最後の1年を迎える僕は、そろそろ後進のために「所属と挑戦が適度にブレンドされた場所」を提供する立場になりました。中小企業診断士として中小企業の強い組織づくり人材育成のサポートをしていきたい。そしてこのキャリアメンターネットワークにご縁をいただいたのも「お役目」でしょう。

さて、今年の目標。経営面では2016年締めでは未達ですが、5月の当社決算に向けてようやく「形」らしきものが見えてきました。読書目標の「100冊」は本日時点で99冊、達成は間違いありません。皆様の1年はいかがでしたでしょうか。

師走のラストスパート、インフルエンザやノロウィルスにやられないよう気を付けながら、気になっていたことを一気に片付けましょう。ちょっと早いですが、良いお年を!