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第9回 「一皮むけた」瞬間(下)

一歩ずつ、前に進もう 2016/04/09(土) 13:43

CMNブログ第二週担当の水谷弘隆です。

新年度ですね。読者の皆様の中にも社会人として新たなスタートを切った人、人事異動で新しい部署に移った人がいらっしゃるでしょうし、また淡々と普段と変わりのない、慌ただしいだけの年度替わりを過ごした人も多いことでしょう。

我が家では次男坊が中学に入学、買い替えを見越してとりあえずお兄ちゃんのお古の学生服に身を包んで、キンチョーの新生活に入りました。

サラリーマンをやめて、社員を雇っているわけでもないフリーランス的な仕事をしていると「区切り」をつけるのが難しくなります。もちろん個人事業主も法人経営者も制度上の「決算」という大仕事はあるものの、周囲の環境に一切左右されない自由な条件下で、「区切り」を意識して作っていかなければいかんなあ、と考える毎日です。週の区切りもなく(曜日の感覚なし)際限なく仕事ができてしまう(してしまう)のは、中期的に見たら絶対に良いことではありませんね。楽しいし、人に命じられているわけではないので決して「自分ブラック企業」なわけではありませんが。というわけで、補助金申請締め切りぎりぎり飛び込み案件を喜んで引き受けております。

 3回シリーズの「一皮むけた」瞬間、一応最終回です。むりやりまとめます。

「一皮むけた」瞬間会社派遣のMBA留学から帰ってきた僕は、少しずつ「これでいいのか」と疑問を深めていきました。留学を志したのはMBA取って会社を辞めるためではなかったし、帰ってきたときも毛頭そんな気はなく「転職なんて自分には関係ない恐ろしく大胆なこと」だと思っていたのです。伝統的な日本企業では新卒一括採用、年功序列、終身雇用が当たり前で、辞めるのは「家業を継ぐ人」ぐらい。自分もその環境にすっかりなじんで疑問をまったく持ってなかった。

海外でMBA取ってきて、会社でどうやって経験を活かそうか、どんなふうに抜きん出ようか。そんな期待を持ちながら帰ってきたら前と同じ部署、同じ仕事。「活躍への期待」は感じるのだけれど支離滅裂な上層部、上司からの無茶振り連発。「この会社は、悪気はないのだけれど留学経験者の使い方を知らない、人事制度上も”例外”は絶対に作らないのでキャリアアップは10年待ち」。日本の会社の良い面でもあるのだけれどスピードが遅い。海外の友人たちのキャリア観や実際の動き方に触れて「外の世界を知らずにこのまま定年」でいいのだろうか。

「一度、外の評価を聞いてみたい」。プロ野球でFA権を取得した選手のような気持ちで匿名転職サイトに試しに登録してみたのがその後の”Like a Rolling Stone”の始まりです。

安定した有名企業を辞めて転職したのが果たして良かったのか悪かったのか。

改めて別テーマで書く機会もあると思いますが、3回の転職後の独立開業に至るプロセスはジェットコースターです。外資系、外国人上司、ドライな企業文化。

うまくいったこともあれば地獄も見ました。地獄を見たからこそ分かったこともある。一回だけの人生、経験の種類は多いほうがいいのです。最初の転職がなければこんな面白い人生はなかったし、著書を出すなどという夢がかなうこともたぶんなかった。

終身雇用の世界を抜け出す脱皮を行い、そして雇われる生き方からついに脱皮した僕。

でも、成長は一直線ではなく、それぞれのステージで停滞や後戻りもしながら、毎回、初心者からの脱皮を繰り返しているのだと思います。

今、経営者として次への脱皮の気配を感じてむずむずしているところです。しばらくはモーレツに働くことが今の僕の「ワーク・ライフ・バランス」。いい年なので健康にだけは留意いたします。