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第5回 若手社員が育つには?

一歩ずつ、前に進もう 2015/12/12(土) 12:09

こんにちは!水谷弘隆です。月イチの本ブログ連載第5回目のトピックは、「若手社員は本当に育たないのか?」です。

僕はいま(水曜 日)、第二の故郷、札幌へ久々に来ています。15時羽田発、明日15時半新千歳発の「弾丸」なので、本当は母校のキャンパスを散歩したり、住んでいた下宿 や通っていた銭湯のあたりもぶらついて感傷に浸ったりしたいのですが、今回は残念ながらそんな余裕はなさそうです。ススキノで楽しく酔った後の原稿なの で、論旨がところどころ怪しくなるかもしれませんがご寛恕のほど、よろしくお願いいたします。

今回は、最近読んだ本の紹介です。『若手社員が育たない。-「ゆとり世代」以降の人材育成論』。

『若手社員が育たない。-「ゆとり世代」以降の人材育成論』正直に白状すれば、CMNに関わらせていただくようになったので、「最近若者事情」のインプットのためにドロナワで読んだ本のうちの一冊です。自分が経験し、苦闘し、失敗しながら克服してきたことは、それなりに理論づけて語ることができます。しかし経験していないことは机上でもいいから学ぶしかない。僕には自分にその経験が足りないことが分かっています。前回までに書いてきたように、「下が入ってこない」ことで割を食って、人をマネージする立場になかなかなれず、また、年功序列要素皆無、中途入社中心の外資系企業では、若手ではなく同世代以上の部下といかに関係を築くかに腐心することになったからです。こういうとき著者の長年の研究や経験、知見が凝縮された良い本は気楽に教えを乞える、コスパの高い「師」です。

 この本のターゲット読者は「ゆとり世代以降の若手」と日々対峙している中間管理職の皆さんだと思いますが、その困っている中間管理職の問題を解決する立場にある上級管理職や経営層、そして「育たない。」と嘆かれている側の若手社員にもぜひ読んでほしい良書です。経営者はともかく、なぜ若手社員にも読んでほしいのか。「なぜ自分たちが”育つことのできない”環境に置かれてしまっているのか」の背景を知ってもらいたいからです。背景が分かれば、その中で、自分で解決できることとできないことは何なのか、これからどんな行動をとっていけば「育つ」ことができるのかをたぶん考える。環境のせいにせず、できることをやっていこうという小さな勇気が湧いてくるかもしれない。「育たない扱い」のタイトルに腹を立てずに手にとってほしいと思います。

 僕が深く頷いた著者のソリューションは以下の二つ。

 

 1) プレイングマネージャーの廃止

 担当者と同じ作業レベルまでの実務を与えられながら人を育てろ、組織をうまく運営しろというのは「無理」の領域に達しています。管理職が疲弊し、コミュニケーションが止まり、組織が壊れる。経営層には、管理職を働かせて人件費を浮かすケチな考えはさっさと捨ててほしい。上司は部下の育成と組織の活性化、職場の健全化だけに集中させるべきでしょう(数字への責任は大前提です)。僕自身がプレイングマネージャーで消耗しきったし、そういう人、組織をあまりにたくさん見てきました。大きな目、長い目で組織づくりとそれが生み出す価値、収益を考えれば、一時の小さな投資です。

 

 2) 若手を外部の勉強会に出す

 自分がキャリア形成に目覚めて一皮むけ始めたのは、社外の人たちと交流できる場所に自主的に出るようになった後です。社内に閉じこもっていては分からなかった学びと刺激、一方で自分が意外に認められる、通用して得られる承認欲求の充足。

日本企業の良さでもあったコミュニティ機能が劣化して学習環境が失われた今、若手に外の空気を吸わせる効用を知った企業の事例が紹介されていましたが、僕にはもう少し踏み込んだアイデアがあります。これが実現すれば若手はもっと伸びる環境を得られるし、社会の様々な余剰資源の有効活用にもなるはず。もう少し形になってきたらどこかでお話ししたいと思います。

 著者は「大学での学び」をもう一つの鍵として大きなページを割いていますが、ここ札幌の地で、講義に出席しないことに力を入れていた(抜いていた?)僕には何も語る資格はありません。