僕は「中小企業診断士」という仕事をしています。簡単に言えば「国家公認の経営コンサルタント」で、中小企業、小規模事業経営者の経営向上の支援をする役割を担っています。
ところがこの仕事、歴史はあるのだけれど一般の認知度が低い。どうやって仕事を取っていくか、経営コンサルタントを名乗りながら、自分自身の経営が問題、すなわちゼロの状態から顧客獲得の糸口を見つけるのがとても難しいのです。
そんな中で業界の先輩からよくいただくアドバイスが「自分の得意分野、得意業界を明確にして、絞ってアピールせよ」というものです。耳タコで言われるのが「何でもできますというのは何もできないのと同じ」。
そうかもしれないなと考えて、僕は「海外に強い」、「大企業での購買業務経験」、「出版をブランディングに活かせる」を強みとして打ち出しました。そうすれば他の診断士との差別化が図れるかもしれない。
1年以上続けた手応えはいま一つでした。仕事のほうは、アピールしてきた強みではない地道な努力のほうから伸びてきましたが、それはどう考えても自分の「別の強み」が生み出したものなのです。
僕の別の強みは、「妥協なく結果を追求する」、「フットワーク軽く動く」、「説得力のある分かりやすい書類を短時間に作る」など。これらの資質は、中小企業診断士が企業経営の支援をするときにどんな場面でも必要になる「幹」なのではないか。
それならば、「業界」や「職種」は中小企業経営支援における「枝葉」であって、「幹」は「中小企業の根本的課題を解決する」ことだった。自分はずっと、「幹」を言わずに「枝葉」だけをアピールしていたのです。
最近、自分の仕事を「中小企業経営の根本的課題を発見して、経営者とともにじっくり解決していく実務支援型コンサルタント」と自信を持って説明しています。すると反応がものすごくいい。「中小企業診断士ってそういう仕事なんですね、知らなかった」、「そんな支援をしてくれる専門家がいるんですね」、「必要としている人がたくさんいる」。
つまり、今まで僕は「幹」を省略して「枝葉」だけを言っていたのです。それでは伝わらないのは当然です。
たまたま気付いたのですが、実は業界(および主管官庁)も枝葉(個別支援政策)ばかりで長年やってきて「幹」にようやく着手したところなのでした。
「枝葉」、「枝葉末節」はあまり良い意味では使われない言葉です。本質とは関係のないさして重要でない部分に固執する態度を暗に批判するイメージです。
でも僕は「枝葉」はやはり大切だと思います。枝葉がなくては豊かな緑から光を吸収することもできないし、美しい花を咲かせることもできない。本質である幹だけでは具体的、現場レベルでの仕事はできない。でも枝葉は幹があって初めて存在するのです。
今月は当社の決算です。新しい期は大飛躍の年になるはずです!