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CMNビジネススキルトレーニング卒業の季節(前編)

新しいコミュニティの構築を目指して 2016/04/04(月) 16:57

昨年、10月25日第1回スクーリングからスタートしたスキルトレーニングも3月の27日、第6回スクーリングで無事終了しました。とはいえ、後半 戦のリアルテーマについてはゴールとは言えず、まだまだこれからが山場の新規事業などもありますので、今後も継続的に支援していきます。

 今回は初回でもありメンバーと相談しながら手探りで進めて来ました。とはいえ、具体的に何をどう学ぶかといったことは専門性が必要な部分ですので前半はこちらで用意し、後半はメンバーの個別の事情や要望に基づいて相談しながらデザインしました。

 多くの成果があり、多くの反省もありました。この半年間を振り返ってみます。

 まず前半の3ヵ月は思考方法とコミュニケーションスキルについて取り組みました。ここからはじめたのは、業種や職種にかかわらず共通した足場であることと、学習自体がコミュニケーションを通じて行われますので、それがうまくいかないとそもそも歩留まりが悪いからでもあります。

 思考方法について学んだことは簡単に言えば3つです。一つは目的を確認すること。もう一つは分けること。そして比べること。あたりまえのことですがこれを徹底し、かつその精度を上げる事に取り組みました。

 たとえば、目的を確認するということはあたりまえに見えて意外に抜けがちです。企業でも若手は「これをやれ」「すぐやれ」といった指示で目的を知らされずに作業に取り組む事がよくあります。スピードを求められる現場では仕方がないことですが、それに慣れると目的を確認しない癖がついてしまいます。

 実際に今回のメンバーも目的を確認しない癖がついていました。たとえば、課題を出すと目的を確認せずに取り組む事が多く、多義的な解釈ができる課題の出し方をしても自分なりの解釈をしてはじめます。相手の気持ちを察してそれに応えるというのは状況によっては素晴らしい対応ですが、初めてのチームで仕事をするような場合はトラブルの原因になります。

 また、目的が分からなければ想定とは違う状況になった場合に臨機応変な対応もできませんし、創意工夫も生まれません。そして何よりも「言われたとおりやります」という仕事は機械化や外注化の対象ですから賃金が上がりません。つまりこれが身につかない限り、キャリアの選択肢が極めて限定されてしまうのです。

 このように仕事に必須であり、かつあたりまえのように見えて、意外に仕事では身につかない(場合によっては退化する)能力があります。コミュニケーションも同様で、その職場でしか通じない特殊なコミュニケーションスキルが発達すると、職場ではコミュニケーションがうまくいっているように見えて、一歩外に出るとかえって退化しているというケースがあります。

 これらのスキルは、同じ仕事を、同じ職場で、同じメンバーと、長期に渡ってやっているときは意識する必要がなかったために、かつては企業内でも軽視されてきたという背景があります。さらに、日本の学校教育の最も弱いところで、世界的には義務教育でやっているレベルのコミュニケーション基礎スキルを教えていません。

 結果的にこういった基礎スキルの脆弱性がキャリア選択の上で非常に大きな障害になりますので、前半戦は徹底してこの部分の強化に努めました。

 結果を見ると、全員スタート時点よりは格段に成長したが、まだまだ磨くべき点が多いメンバーもいます。3ヵ月という時間では厳しい面もありますが、もっと基礎からやるべきだったかも知れません。

 基礎ができている人が応用の勘を掴むのは比較的短時間でできますが、基礎ができていない人が基礎を習得するのは時間がかかります。スポーツで言えば素振りや筋トレからはじめないと習得できませんし、一度出来上がったフォームの修正などは何年もかかることもあります。ビジネスも同様に基礎の習得は簡単ではありません。これを短期間に習得できるようにすることは今後の我々の課題です。

 そして、「もっと基礎」とはたとえば暗算です。ビジネスの話しはほとんど数字が入っていますので暗算が速く正確にできる人は交渉や打ち合わせでは非常に有利です。なおかつ、ビジネスは複数の変動する条件の組み合わせを比較して選ぶというようなケースが多いわけで、これは少し長めの四則演算の計算式を暗算するのと脳の使い方は同じなのです。計算が速い→頭の回転が速い→デキル!人物評価は意外に単純です。

 あるいはタイピングなども作業量が膨大になるほど差がついてきます。そして、早くできれば確認時間がとれますから結果的に正確にもなります。自分が先に終われば他の状況も見られますから目配りが効くと言うことにもなり、さらに手伝ってあげれば感謝もされますし信頼もされ、リーダーシップにまで影響します。

 暗算とかタイピングはそれ自体が大きな価値とは認められず履歴書に書けるようなことではありませんが、実際に仕事をすればすぐに分かります。高等数学ができるかどうかはその場面が来なければ分かりませんが、暗算ができるかどうかは日常会話で分かります。つまりそれだけ使用頻度が高いのです。

 そして、こういった基礎が身についていない人はスポーツでいえば基礎体力がないのと同じで、練習すらあまりできません。したがって同じ学習でも基礎ができている人の何倍も苦労します。急がば回れで、基礎の訓練をしっかりした方がトータルには時間短縮になります。

 第2期では、読解力、文章力、スピーチやディスカッションといったコミュニケーション基礎の習得と並行して、上記のようなさらに基礎の部分も点検しつつ同時学習ができるよう仕組み・仕掛を考えています。第一期生にはフォローアップでそこを追加提供していきます。

 後半戦のご紹介は次回!

 

 

堀口卓志

人と組織の問題に30年以上関わってきましたが悩みがつきません。
マネジメントセオリーの多くは 未だに 半世紀以上も前の米国の研究に依拠しておりますが、インターネット以降それらが次々と破壊されてきた感があります。
科学技術のめざましい発展に比べればこれは当たり前のことかもしれません。
私自身も含む旧世代は過去の知識に過度に依存せず、評論をするのではなく、自らが変化にチャレンジすることによって解決の道筋が見つかると考えています。