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若者の退職ネタについて少々持論を。

新しいコミュニティの構築を目指して 2017/08/12(土) 06:59

 

ここ数年、若者のキャリアサポートもしている関係で若者の退職ネタが気になるわけですが、今日もちょっと目に止まったものがありましたのでそれについて少々持論を。

 

 

「ワロタ。Twitterの「うちの新入社員が辞めた理由」が斜め上すぎる」

 

この時期になると毎年出てくる定番の居酒屋ネタですのでまずはご笑覧ください。

https://matome.naver.jp/odai/2150214645356200701?&page=1

 

 

私も昔、新入社員を受け入れる立場にいた時にはよくこれをやっていました。

しかし当時とは自分の立場が変わったせいか、3点ほど気になったことがあります。

一つはここに出てくる常識外れの辞め方をして行った若者たちの何割かは、自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder”)の可能性があるということです。

ASDは先天的な脳機能障害で、いわゆる自閉症やアスペルガー症候群(AS)も含まれ、症状も様々で軽度なものから重度なものまであり、健常者と見分けがつきにくい場合もあります。

ここに出て来る若者が先天的な障害者であるとすれば、「あいつ聴こえないんだぜ」「まっすぐ歩けないのには呆れたよ」と障害者の特徴的な行動をあざ笑っていることになります。

その上、このような若者がレアなケースとも言えないのです。2017年5月21日にNHKスペシャルで発達障害について特集がありました。

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170521

 

それで初めて知りましたが、最新の調査では15人に一人が発達障害だそうです。

そこで色々と調べてみると、大人の自閉症スペクトラムのためのトレーニングというのは世の中に色々あることを知り2冊ほど本を取り寄せて読んでみました。

大人の自閉症スペクトラムのためのコミュニケーショントレーニングワークブック
https://www.amazon.co.jp/dp/479110952X/

大人の自閉症スペクトラムのためのコミュニケーショントレーニングマニュアル
https://www.amazon.co.jp/dp/4791109511/4791109511/

そこには、挨拶の仕方や、自己紹介の仕方や、会話の始め方などが丁寧に説明されています。 もう本当に当たり前のことしか書いてありませんが、それがかえって衝撃で目から鱗が落ちる思いがしました。

挨拶の仕方や、自己紹介の仕方や、会話の始め方など小学生にも理解できるような内容ですが、それでは果たして我々は小学生の時にこのようなことを習ったでしょうか?

同書の目次を少し紹介します。

挨拶をする/会話を始める
会話を続ける
会話を終える
表情訓練/相手の気持ちを考える
感情のコントロール(不安)
感情のコントロール(怒り)
上手に頼む/断る
相手への気遣い

少なくとも私は学校でこのようなことを教わった記憶が一切ありません。
どこで覚えたのかも記憶にありませんが、子供の頃に必要に迫られて失敗しながら徐々に身についていったのだと思います。

しかしこれがもし、大人になるまで経験機会がまったくなかったとしたら、当然うまくできないし、社会に出た時に大変な苦手意識を持っていたかもしれません。

そこで二つ目の問題意識です。社会構造が大きく変わっていく中で、このようなことを学校教育のなかで教えなくて良いのかという疑問です。

私は個人的には義務教育の中でしっかり位置づけた方が良いと思いますが、高校、大学でも就業前の教育として一度確認しておいた方が良いのではないでしょうか。

最後に3つ目ですが、若者を受け入れる企業の側の人たちが、ワロタ。と言っている場合か?という疑問です。

若者の言動が理解できないことを、若者の問題だと一方的に決めつけているところが既に危険信号のように思えます。

例えて言えば「我が社の製品が売れないのは顧客のせいだ」と言っているような。。。

「そういう若者が増えましたけど、我が社ではみんな元気に働いてくれてますよ」 と言える会社にする方が、若者の意識を変えるよりはるかに実現可能性が高いと言うことだけは間違いありませんので。

 

 

 

堀口卓志

人と組織の問題に30年以上関わってきましたが悩みがつきません。
マネジメントセオリーの多くは 未だに 半世紀以上も前の米国の研究に依拠しておりますが、インターネット以降それらが次々と破壊されてきた感があります。
科学技術のめざましい発展に比べればこれは当たり前のことかもしれません。
私自身も含む旧世代は過去の知識に過度に依存せず、評論をするのではなく、自らが変化にチャレンジすることによって解決の道筋が見つかると考えています。