今回の会場は渋谷の宮下公園に近いビルの一室で、本棚に本が沢山あるアットホームなお部屋です。基本的にスクーリングは休日にやるので会議室みたいな固い雰囲気ではなくリラックスして取り組みたいと思い、あえてこのような場所を選んでいます。また、終了後も懇親会向きのちょっとそそるお店が多いロケーションというのも一つの基準です。
さて、年明けからの1ヵ月はこれまでの学びの応用としてほぼチームディベートに費やしました。Webベースでやるので普通のディベートと違って双方のやり取りがすべて文字として残ります。それだけに、その場で焦ることなくじっくりと読み込んで頭を整理しながらロジックを組み立てていくことができます。反面、深く考えていろいろ調べればいくらでも時間がかかるので日常業務が終わってから毎晩取り組むとなると大変です。
価値あるスキルを習得するには、そこそこのまとまった時間を投入する必要があります。それもウェイトトレーニングと同じで、一定以上の負荷を掛けないと成果が上がりませんので楽ではありません。しかし、仕事をやりながらですからあまり重すぎても続きません。その上チームでやりますので、仕事の忙しさに個人差があり、中には本当にしんどい人もいます。どの程度まで負荷を掛けるかさじ加減が難しいところです。
今回は一人だけディベートが始まる前に辞退した方がいました。チームでやる上に対戦相手がいますので、1日でも提出が遅れると全員に迷惑がかかります。それを踏まえて、業務がピークにさしかかっている状況の中でやりきれる自信がないと言う判断でした。これは賢明な判断だと思います。何でもかんでも「なせばなる」というのは思考停止で、先々を見越して冷静に判断できたことは一歩前進です。参加はしなくても、観戦はできますので半分程度の学びは得られます。
ディベートをやることによって3つの学びがあります。一つは議論の組み立てかたや問題点の見つけ方などディベートそのものの技術です。よくディベートは議論に勝つ技術だと思われがちですが、それはほとんど重視していません。基本的に考えを理路整然とまとめる技術をベースに議論をかみ合わせる技術や、相手の主張を深く理解する技術を学びますので非常に汎用性が高く、会議や交渉の場だけでなく、たとえば一人で取り組む企画立案といった場面にも応用できます。
二つ目に、そこで取り扱った論題(テーマ)が立体的に見えてきます。普通は特定のテーマに関心を持つと賛成か反対か自分の感覚的判断がまずあって、その判断が賛成であれば賛成に有利な情報ばかり見えて、反対派の意見は耳に入らなくなってきます。つまり問題のとらえ方が一方向からの平面的な見方になりがちです。
たとえば今回は、キャリアを考える上で参考にもなりますので「ホワイトカラーエグゼンプション」について取り組んでみましたが、労働組合で以前からそのテーマに取り組んでいた人は、はじめから考えが固まっていました。しかし、反対側の役割もやってみたことによって新たな発見もあり、両側からこの問題を立体的に捉えることができるようになりました。最終結論は賛成か反対かどちらかに決めるにしても、その過程で反対側の事情や意図を無視することは危険です。
三つ目に自分自身を知る事ができます。肯定側と否定側の両方をやると、その切り替えの時に今まで反対側にいた自分を見つめるわけですら自然にメタ認知ができます。またチームでやりますので、チームメンバーとの観点の違いや価値観の違いなどから自分を再確認することもあります。そして、情報感度や整理の仕方などで自分のこだわり(何に関心があり何を見過ごしがちか)なども浮き彫りになります。
昨年までは個人学習が中心でしたが、今回はかなり濃いチーム学習でしたので、チームで何かをやる喜び(もちろん苦労もありますが)に目覚めたようです。スクーリングの雰囲気に楽しさが出ていました。
さて後半戦は、各人が持っている思いを形にしていきます。今回は3人が持っているビジネスプランを材料として、他の人はそれに手を貸す立場でこれまでの学びを活用していくことになりました。手を貸すと言ってもそれだけではなく、並行してビジネススキルの足りない分も学習します。
その内の一つはもう既に動き出している案件で走りながら考える段階です。もう一つは長年温めていたプランである程度準備も進んでいます。最期の一つは、つい最近ある出来事から実現可能性が見えてきたビジネスです。
現時点では具体的な内容をここでおしらせできないのが残念ですが、それぞれユニークで十分成功する可能性のあるネタですし、是非成功させたいと思っています。事業として始動しはじめましたら必ずご報告いたしますのでしばらくお待ちください。
(とりあえず帰りに渋谷を1枚)