その中でも特に力を入れているのは、新卒時の就活に失敗して正社員になれなかった人や、入社した会社を早期に辞めてしまった人などです。この段階は職業経験が少ないので判断を間違いやすいときでもありますので。
早期退職者と実際に接してみると辛抱が足りないというようなケースはむしろ少なく、事前の説明と仕事や処遇が全く違っていたとか、新入社員には過酷な労働環境やパワハラに近い上司の言動など、職場にもおおいに問題があると感じる場合が少なくありません。そして、それ(たとえば騙されたとか、体を壊したとか)がトラウマとなっているために、再チャレンジがなかなかできずにアルバイトなどで凌いでいるケースが非常に多いのです。
新入社員から数年間は一流企業でも手取り給与はアルバイトとそれほど変わりません。そこで上司のプレッシャーやサービス残業の少ないアルバイトにズルズルと安住してしまうのです。たまたま、アルバイトの内容が将来に繋がるスキルを磨けるようなモノであればいいですが、いわゆる単純労働ですとそこに留まる期間に反比例してキャリアシフトの可能性が低下します。結果的に生涯フリーターしかなくなってしまいます。
能力意欲ともに十分可能性のある若者が、一度の躓きで生涯フリーターでは社会的にも損失が大きいので、我々はなんとか支援しようと務めているわけですが、そこで気になるのが企業側の受入体制です。彼らをどこかの企業にご紹介して入社できたとしても、二度目もまた職場環境に適応できなかったらトラウマは決定的になります。
仕事に慣れないうちは疲れも酷いでしょう。事故や退職やなどで一時的に過重な負荷がかかることもあるでしょう。上司や先輩と相性が悪いこともあれば、些細なことから誤解されることも、理不尽だと感じることもあるでしょう。そういうことはどこの職場にもありますが、問題はその時に相談できる人がいないケースが増えていることです。
実際に2012年入社の大卒新入社員は2015年段階で、つまり3年後には32%以上辞めています。それも就職人気の高い一部上場の大企業、伝統ある名門企業でも多くの退職者が出ている企業があります。そしてそういう会社に限ってこの現象を「最近の若い者は・・・」と一方的に若者の問題だと考えている人が多いのです。
若手社員の退職にはもちろん様々な原因があり若者の気質もその一つかもしれませんが、コントロール不可能な事を原因としても始まりません。企業にとってできることでまだ不十分なことは何かといえば、「困ったときに相談相手がいない」ことが一番大きいのではないでしょうか。
人事にも組合にも相談窓口があり、キャリアコンサルタントが常駐していたにしてもそこに行くのは敷居が高く、そんなところに相談するよりは転職あっせん会社の無料相談の方がはるかに精神的に楽、となれば、もうその段階で結末は見えています。
直属の上司には相談できないことも多く、身近な先輩もいない場合、同期で話したりすればお互いよくわかっていない同士ですから、不満がエスカレートしたり職場環境の違いに不公平感を募らせたり、必ずしも良い方向に行くとは限りません。そこで今見直されているのが社内メンターです。
そこでキャリアメンターネットワークでは、企業内メンター養成講座を作成し6月よりサービス提供をする事に致しました。それに先立って5月24日に、日本CHO協会様主催の人事実践セミナーでその内容についてご紹介します。
日本CHO協会:https://www.j-cho.jp/
セミナー紹介:https://www.j-cho.jp/seminar/pdf/f_160524.pdf
メンターは通常、メンティの斜め上の関係がよいとされています。直接の指示命令や評価の対象ではないけれど、職場状況や本人のタイプなど少し知っている程度の関係の人が相談に乗りやすいわけですが、組織内に適任者がいるとは限らず、また導入期には様々な問題が起きます。
たとえば、メンターはメンティに対して責任・権限はあるのか、メンターの仕事はどう評価するのか、直属の上司とコンフリクトが起きないか、メンターとメンティの相性が悪かったらどうするのか、そもそもマッチングは誰がどうやってするのか、等々制度上の問題もありますし、メンターはメンティにどのように接して、どのように相談にのり、どのようにアドバイスしたらいいのかといったメンターのキャリアに対する知識やスキルの問題もあります。
これらの解決の一助としてメンター養成および制度導入ためのセミナーを5月24日14:00より大手町のパソナ本社ビル1階で行います。
https://www.j-cho.jp/seminar/pdf/f_160524.pdf
今回のセミナーは日本CHO協会の会員様が対象ですので誰でも参加できるわけではありませんが、このような機会を今後も受けていきますので是非ご活用ください。