キャリア メンター ネットワークは、将来性ある若者のキャリア形成をサポートします

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キャリア形成をさまざまな視点で見つめます

CMNビジネススキルトレーニング紹介(前編)

新しいコミュニティの構築を目指して 2015/10/31(土) 13:24

10月25日の日曜日から、キャリアメンターネットワーク主催でビジネスのスキルトレーニングをはじめましたので本日と次回と2週連続でそのご紹介をします。

◆キャリア形成の前提としてスキルアップが不可欠

 日本の新卒一括採用という独特なシステムは、若年労働者の就業率を上げる(失業率を下げる)という面では一定の効果を上げています。しかし一方で多くの問題を抱えており、運の作用する要素も少なくありません。そもそも大卒時点で職業選択ができるだけの準備ができている人は極めて少ないのが現状です。
 したがって人生の重要な選択が「運」に左右され、また「よく分からずに決める」ということになるわけですが、これはある程度仕方がない事でもあります。だれしも経験しなければ分からないわけですから。問題は、後から軌道修正ができるかどうかです。転職サービスなどは年々増えていますが、就活に失敗したり、すぐ辞めたというような初期的つまずきに関しては、逆に軌道修正が難しくなっています。昔であればアルバイトから正社員という話は普通にありましたが、今は派遣やアルバイトとから正社員という道はかなり狭くなっています。

 転職であれ、起業であれ、自分のキャリアをシフトしようと思えば、まず必要なものは能力です。あるいはその能力があると証明できる何か(実績や資格や評判や作品や、実際にやってみせるスキル)です。そして、マインドセットも必要かもしれません。これらは広義のエンプロイアビリティと言えるかと思います。
 キャリアメンターネットワークではキャリア支援のためには、エンプロイアビリティの向上が不可欠と考えそのためのトレーニングプログラムの提供をはじめました。

◆なぜキャリアメンターネットワークが主催するのか
 キャリアアップを考える上で能力開発の必要性は論を待ちませんが、それをキャリアメンターネットワークが直接提供すべきかどうかは議論の分かれるところです。世の中には既にキャリアアップのための能力開発コースは数多くあります。中には仕事のない資格の取得コースや、やみくもに飛び込み営業をさせるようなものもあり選択は注意しなければいけませんが、有益な能力開発プログラムも多数あります。
 能力と意欲さえあれば世界の一流大学の講義がオンラインで視聴できますし(※1)、毎日どこかで自己啓発セミナーが開催され(もちろんこれも玉石混淆)、プログラミングから英会話まで無料コースが沢山あります。そのような形で学習プログラムになっていなくてもネットでググればほとんど何でも自己学習可能です。

※1.オンライン大学MOOC(Massive Open Online Course)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Massive_open_online_course
http://www.jmooc.jp/
http://wired.jp/2014/08/08/mooc-best/

 しかしながら実態は、それで成功する少数の人と、うまく活用できない大多数の人という構図になっているのではないでしょうか。特に、キャリア形成に迷っている段階では、何から手をつけたらいいか、そのテーマの学習にはどのようなコースがあり、どれを選ぶべきか、といったことがまず分かりません。

 そして、われわれメンターがアドバイスしようにも、メンティのコンピテンシーや潜在的な適性を発見することは簡単ではありませんし、世の中に多数ある学習プログラムの質的な面まで把握しているわけでもありません。そして何より、既存のプログラム自体がメンティの状況に個別に合わせる仕組みにはなっていません。

◆プログラムのコンセプト
 学習する際の一番の障害は時間がとれないことです。モチベーションが続かないといった事も含めて、効果が実感できるところまで学習に投入できないのです。

したがって、焦点は学習効率ですので、3点の工夫をしました。
第一に、対象を必要なものに絞る(不要不急なことは省く)。
第二に、学習しやすい仕組みや環境を用意する。
第三に、各人のレベルや特性に合った学習内容を提供する。

◆必要なものに絞るとは、長く通用する基本に絞ります。
 ビジネスで使うマネジメント、マーケティング、ファイナンス、IT等の用語やコンセプトは膨大な量があり、全てを学ぼうと思うとキリがありません。よく見かけるのは流行のコンセプトやバズワードの表層的学習です。それが自分の専門分野であればバズワードであれなんであれおさえておく必要がありますが、専門外であれば知ったかぶりをする程度しか使い道がありませんし、万が一必要になればその時に調べても間に合います。

◆学習しやすい仕組みや環境としてWebを活用します。
 スクーリング(集合研修)は毎月1回日曜日13時-17時+懇親会(自由参加)のみとして、平日は毎日WBT(Web Based Training)で進めます。こちらから配信したテキストを読み学習し、疑問点は質問するというスタイルで隙間時間など活用して、いつでも、どこでも学習できるようにしています。毎週1回、課題に取り組み週末に提出します。そうやって1ヵ月間学習した成果をスクーリングで確かめる反転学習で進めます。

◆各人のレベルや特性に合った学習内容を提供します。
 ここが一番の特長です。前半3ヵ月は基礎的なスキルの点検をして、後半3ヵ月は個別プログラムで自分が設定したテーマを学習するという形で、半年間を一単位として足場を固めます。後半はまさに個別プログラムですが、まだどうなるか分かりませんので今はご紹介できません。前半の基礎部分にも特徴がありますので今回はそこだけご紹介します。

 基礎的に学ばなければならないことは共通していますが、出発点の現状はひとり一人違います。レベルも違いますし、若いとは言え実は固まっている部分があります。それは学校教育の悪しき影響もありますし、「就活体験」の中で刷り込まれたスタンスもありますし、ネットの風評など間違った理解もあります。

 これは、たとえて言えば新築ではなく増改築のようなものです。そこで生活しながら(通常通り仕事をしながら)、点検して老朽化した部分を補強し、新たなライフスタイルに向けて間取りを変えるなど将来に向けた備えをします。前半3ヵ月は老朽化した部分の補強、後半3ヵ月は将来に向けた備えに当たります。

 余談ですが、テレビで「ビフォア&アフター」という増改築番組をやっていますが、あれを見ると全く同じだと思う点があります。

 増改築を依頼する側は「不便な点を直して欲しい」とか「新たなライフスタイルに向けて」の要望を語りますが、「基礎を強化して欲しい」とは誰も言いません。しかし、それを請け負う設計士は必ず基礎を点検し、場合によっては少ない予算の半分以上を割いてでも基礎の強化をします。ここがプロと素人との違いです。

 トレーニングも全く同じで、プロほど基礎トレーニングに多くの時間をかけます。素人は、「一流シェフが半日で教えてくれるセレブ向けお料理教室」など基礎を全くやらないコースが人気を博します。「茹でたてのジャガイモの皮を剥くコース」など誰も来ないでしょうが、プロはそれができなければ仕事になりません。

 キャリアメンターネットワークのプログラムも基礎に重点を置きますが、増改築スタオルでそれぞれのレベルや特性を見ながら、使えるものは使い、老朽化した部分やそもそも手抜き工事になっている点を強化します。

 このやり方の利点は学習効率が高まるだけでなく、そのプロセスで各人の可能性を発見できるところにもあります。何が得意で、何が強みで、何を好み、どちらに向いているのかといったことが、自己申告をベースに探るカウンセリングよりもよく把握できます。

 全員一緒に取り組む基礎学習であっても、実は裏側は個別対応になっていて、各人の状況に合わせたプログラムの最適化を図りながら進め、同時に将来の方向性を探るためにコンピテンシーの確認も行います。このあたりが既存プログラムにはない点で、キャリアメンターネットワークとして取り組む必要を感じた所以です。

 次回(11月7日土曜日)は、第1回スクーリングの取り組みを中心にご紹介いたします。

 

10月25日の日曜日から、キャリアメンターネットワーク主催でビジネスのスキルトレーニングをはじめましたので本日と次回と2週連続でそのご紹介をします。

堀口卓志

人と組織の問題に30年以上関わってきましたが悩みがつきません。
マネジメントセオリーの多くは 未だに 半世紀以上も前の米国の研究に依拠しておりますが、インターネット以降それらが次々と破壊されてきた感があります。
科学技術のめざましい発展に比べればこれは当たり前のことかもしれません。
私自身も含む旧世代は過去の知識に過度に依存せず、評論をするのではなく、自らが変化にチャレンジすることによって解決の道筋が見つかると考えています。