なにが?・・・・って、雇われ仕事が。
シンガポールで苦節7年、助走3年。上司には恵まれなかった私ですが、ようやく自分がやりたいことを、思うように体現させていただける環境を頂戴し、私らしく構築している気がします。
きっかけは、お客様からのクレーム。
「串焼きの串が短くて気づかず、串を噛んだ。数十年後に歯に異常が出たら、どう責任を取ってくれるんだ」と。約3時間話されたことや、責任問題については、話を脇に置いておきますが、大切なのは「串が危ない」というご指摘ポイント。
実は、発売時に私も『串をもう少し長くしないと、危ないかも』と感じました。(最近のお客様は、大抵携帯を見ながら食事をされるので、注意力が昔より散漫になっています)。しかし、その商品のVersion1にダメ出しし、一旦全店で販売を止めてまでR&Dをやりなおさせた末のVersion2の再販売のタイミング。若いキッチンスタッフが下準備をしている場面に通りかかり、「もう少し長くてもいいんじゃないかしら?」と言ったのですが、「キッチン責任者の指示」とのこと。責任者にも考えがあるのだろうと思い、「そうなの?」と曖昧に受け入れたいきさつがありました。
そしてある日。
仁王立ちのお客様にひたすら謝り続けながら、ご指摘の点に心から共感する私。
「なんであの時「これは変えたほうがいい』と言わなかったんだろう」。後悔が押し寄せます。お客様がお帰りになられた後に話し合ったことはもちろん、翌月の定例ミーティングで、再度クレーム情報が共有された時、改めてマネジャー達に素直な気持ちを伝えました。
「実は私、このリスクには気づいていたのに『みんなの考えを尊重しよう』と、意見を言わなかったことを後悔している。『気づきながら予防しなかった』という意味で、今回は私の責任だと思っている。改善策は長い串に変えるだけ。シンプルです。お客様は、私たちのために建設的にフィードバックしてくださったと思います。言い方はちょっとナンだったけどね(^^ゞ」
20代~30代前半の現場の責任者たちは、一瞬呆気に取られて
「いや、僕も悪かったんです。最初、串が長いと子供に危ないかと思って」
「サービススタッフも、提供時に口頭で伝えなくて、トレーニングが徹底していなかったと思います。再度みんなに伝えます」
「みんな、それぞれに、なんか責任があるんだよな」
「もう、改善商品サンプルを作ったけど、もう試食しました?レシピも少し変更しました。承認が出れば、すぐに改善版で販売再開しましょう」
「商品サンプル、届いていた?どこで作業の流れが止まっていた?」
「すみません、僕、届けて、きちんと伝言していなかったかも」
水門が開いて、サーッと水が流れ、乾いた田畑を潤すように、それぞれが話はじめて、良い感じにVersion3の商品も決まった。
「いい流れを、習慣にしたい」
ミーティング議事録を作り、フォローアップする担当者も明記の上、全員にメールで送った。すると、約1週間でほとんどすべてが着手済み、3割は完了。 それぞれが(頼んでないのに)中間報告まで上げて来て、まぁリアクションが良くて、嬉しいやら驚くやら。
今回のクレームをきっかけに、「これが好み」「これはいい」「これは苦手」「これはわからない」「こうしたい」と、ハッキリ伝えることにしました。その中でも、「こうしたい」は、伝えるのが結構難しくて、自分が好む仕事の進め方をわかってもらうために、一緒に動くこともあります。
「商品の使い方動画」が必要だね、と話題が出つつ、誰もいつまでもやらない。よって「今やろう」と2人で、20分くらいで動画を数パターン撮影。「お互いに編集して、良いほうを使いましょう」と約束。私は通勤電車内で3日間YouTube先生から動画編集方法を学び、電車内で簡単なプロモーション動画を編集し、アップロード。グループチャットで皆の意見を求めた。「すごい!」「アングルがいいね」「私はこれでいいと思う」「手ぶれがあるね。固定カメラで録画したらどうだろう」などなど。一緒に撮影した人のデータは仕上がっていなかったので、「じゃあ、この前撮影した感じで、今度は固定カメラで撮影し、編集すれば完成だね。後よろしく」と、ゴールへの道のりを提示。「ゼロを1にする習慣」は、圧倒的な対応速度になると思いました。私たちは、開業3年たっても、まだまだ全然未完成。毎日が勉強で、やることがいっぱいです。
スーパーでレジのお姉さんに「笑顔はとても素敵ですね」と言ったら、ビックリしながら益々輝いて、Thank you…「私からです」と、こっそり景品をくれました。
そうこうしているうちに、2016年も年末までもう少し。
先日、役員と個人的に来期の打ち合わせをしておりました。すると突然、「僕には、あなたのようなリーダーシップがありません」と言われました。(←すっごい先制パンチだと思いません?)
面喰いつつも、私のことを認めてくださっていることに感謝。実はそうやって、掌の上で転がされているのかもしれません。でも「今の自分に貢献できることを、もっと思い切りやってみよう」という気持ちになり、チャレンジを楽しみながら、みんなで仕事を進めています。
それでは皆様、また来月お会いいたしましょう。