恋をしている期間は、ふわふわと気分が上がったり下がったり・・・なので、友達にしょっちゅう電話する。冷静な友達は「彼はあなたのことを、気にしていないと思うよ。もう止めたら?」と真正面からアドバイス。そうすると、相談する相手を変えたり、雑誌やインターネットで、自分に都合がいい結果が出るまで占い続ける。あらゆる情報はコペルニクス的転回で処理され「それでもきっと、この恋はうまくいく」という結論先にありき。でも、実際に、やっと相手に会えたら、緊張して話すことが見つからないこともあり、そもそも場を楽しめていない・・・・・やれやれ、まったくどうしようもない。そんなわけで「誰かに好きになってもらいたい」という想いは、今まで成功したことがありません。
転じて、仕事の話。
自分の期待で想像を膨らませすぎて、小さなきっかけで妄想のシャボン玉が割れる現象は、仕事で「自分らしくないことをする時」に発生します。特に「誰かに認めてもらわなくちゃ」と焦っている時に、顕著です。
みなさんが新しいバイト、新しい職場に入ったばかりの時のイメージです。最初は単純に自分の仕事をするだけですが、より貢献度が高くなるのは、長く働いて、職場のルール、そこで働く人の役割や関係が見えて、「この状況で、自分はどう働いたらいいのか」判断できるレベルに達してからではないでしょう? 新人さんは、自分がよかれと思ってやっていることが、会社にとっては、どうでもいい場合があります。物事の重要性や優先順位が合っていない。だから「私は一生懸命やっているのに、上司はわかってくれない」という不満になります。
しかし、相手に受け入れる準備があれば、話合いで解決できる気がします。キーポイントは、どうやって「相手が受け入れる体制」「信頼感」を持ってくれるか?
仕事では、
上司に言われたことはキッチリ完了しておく
言われる前に、すでに手を付けている(または終わっている)が、さらに良し。信頼を得たところで、「実は・・・」と話したらよい気がします。
自分の恋愛下手経験と似た心理現象は、スタッフの中にも見られます。自分の一方的な思い込み大失恋の泣の日々を、ほかの人には職場で経験してほしくないので、「想いを腹にため込むな」をキーワードに、組織の血栓を小さなうちに取り除く作業をしています。
マネジャーのメンターとして、考え方、仕事の進め方、仕事の割り振り方の相談にのったり、例を見せたり。仕事が進まない部署のマネジャーには、滞っている仕事の優先順位をつけ、「今、完了させたいもの」だけを明確に切り出したり。
どんな会社にもありがちな、「誰の許可を取ったら進められるのかわからないいまま、滞っているくだらないもの」。例えば、上司が参考資料として買ってきた本が、誰も見ないまま倉庫に山積み。捨てていいのかわからないので、とりあえず保管。でも、倉庫の場所が狭いので棚を作りたい・・・・という問題。「それって、自分で決めていいのかわからないから、滞っているだけなんじゃないの?」「そうなんです」「私が今、公に、あなたにすべての権限を与えます。3日以内に捨ててください」というと、あっという間に解決。バカみたいだけど、決めてくれる人がいなくて滞る物事って、会社には結構多い。(厄介だけど、誰が許可を出したのか?って、かなり大事なこと)
口下手なマネジャーには「今、何が起こっているの?何が問題な?原因は?自分は何をしたいの?誰に何をしてほしい?」と質問を重ねて、考えを言葉にしてもらい、その内容に対してすぐアクションをとる。「私のことが好きだったら気づくはず」は、ダメです。言葉にしなければ、わかりません、言葉にしても伝わらないことすらあります。
マネジャー達に対する小さなコミュニケーションの連続で、彼らの考え方も把握できるし、逆に彼らも「Alexは、仕事はこう進めてほしいと思っている」という公認ルールができる。理解が深まると、お互いにすこぶる仕事がやりやすくなる。その関係性は、年齢も、国籍も、民族(中華系、マレー系、インド系、その他)も超えて、実現できる。結局、歯車みたいにゴチゴチぶつかり合いつつ、効率的に回れるようになる。
私の片思いは、一度もうまくいったことがありません。そんな私ですら結婚できた(主人に感謝)のは、相手が私に対して気持ちがオープンだったので、良好に物事が進んだような。でも、失敗が多かったおかげで、特に「自分の気持ちが強すぎて失敗するパターン」にも気がつけたし、それが自分のマネジメントに活きている気がします。
みなさんがキャリアを形成する上で、環境は気流のように安定する時も不安定な時もあります。そんな時、仕事以外のことが役に立つことがあります。例えば趣味は、気分を変えたり、客観的に状況を見るきっかけにもなります。特に、人と一緒に楽しむ系、試合がある系、物事を極める系は役に立ちました。就職しても好きなこと(趣味、スポーツ、習い事なんでも)は、大事に続けてほしいなと思います。たとえ忙しくて一旦やめたとしても。
そんなこんなで、今年の私は自分の好きなことに立ち戻る一年。
頭の中も物理的にも「大きく動いて枠を広げる」をテーマに、来月はイギリスへ。
感性が合わないものとは距離を置き、自分らしく生きている時、自分の「好きなもの」が切り出されて、何かが動き出す気がする。
それでは皆様、また来月お会いいたしましょう。