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第3回 前にススメ☆ワラでも掴め

海外就職女子ららら♪ 泣いて、笑って、夢を見て 2015/01/10(土) 10:03

こんにちは。

シンガポールの働く日本人ママ、Alexです。

世界には色々な働き方があり、シンガポールにいると、子供を祖国の両親に預けて外貨を稼ぎに来るアジアの若者と共に働く機会がよくあります。

ビザ発給が厳しくなる前は、マレーシア、フィリピン、中国本土の人が多く見られましたが、今はビザの優遇政策の影響で、とりわけマレーシア人比率が高くなっています。企業側から言えば、外国人労働者は厳しい環境にも強く、サービス業では特にフィリピン人の明るさやホスピタリティーに支えられていたようなもので、20代前半~30歳くらいまでのスタッフと共に働きました。

両親は海外に出稼に出て、祖父母が孫を育てている・・・と聞くと、日本では「子供がかわいそう」と言われそうですが、アジアではより現実的。家庭内で「稼ぐ人」「家を守る人」と世代で役割分担が分かれているようです。ただ、そう理性的かつ合理的には作用しないのが、アジアの国々がいわゆる発展途上である所以。

彼らの事情に一歩足を踏み入れると、「私たち夫婦がシンガポールで働いているから、フィリピンにいる父親も仕事を辞めて、私たちの仕送りを頼りに暮らしている」とか、「祖国の母親がガンで、お父さんは別の家庭があって面倒も見ていないし、私の収入で薬代も賄いきれない」とか、「子供が病気で、首都の病院に送らなければならないのに、お金がない。お父さんのバイクを売ったけどあと10万円必要」などなど、かなりの確率で、お金が絡む家族問題を抱えています。従業員のロッカールームで大泣きをされることも頻繁です。頻繁すぎて冷静なので、会社としてできること、できないことの一線を引いて対応するのが、私なりの答え、と決めております。

余談ですが、給料の前借り依頼も、もらえる権利があるものをゲットするまで上司を追い続けることも日常茶飯事です。深夜早朝おかまいなしに、「お願いします」「助けて」「会社が払うべき義務があり、支払わなければ役所に報告する」とか、「子供が入院したって言っているのに、あんたは見殺しにする気か?」などなど、嫌がらせや言いがかり的に、執拗に携帯メッセージ(LINEとか)が入ってきます。

昔は「かわいそうに」と思って奔走して対応したものですが、結果、ありがとうも言わず、嫌がらせ行為が止まるだけ・・・・ということを何度も経験しました。結論として、それぞれの事情には申し訳ないのですが、耳は貸すけれど、できる範囲でしか力は貸さない、とマインドセットしたわけです。

こんな切羽詰まった状況のアジアの若者たちは、何か理不尽なことがあっても、シンガポールで得た仕事(チャンス)を失うことを一番恐れているので、個人的な感情や考えに固執せず、必死に頑張っています。逆に、仕事そのものに面白味を感じているか?と言えば、正直、疑問もありますし、キャリアアップを望んでいるようにも見えません。 

ごくまれに、努力家かつセンスがある外国人労働者がいて、キャリアアップのチャンスをつかむ人がいます。末端の仕事からスタートし、その組織が本人に合っていれば才覚を表していくようです。第三者のAlexがふと「マネジメントの指示が理不尽だな」と思うことすら「I try my best」と言って、指示が正しいか、正しくないかを考えることもなく、言われたままにベストを尽くすのです。上司から見たら可愛いはずで、当然、違うチャンスも与えられます。


私と彼らは職業観もやっている仕事も違うけれど、そんな彼らの無心な頑張りからAlexが学ぶことは、
「せっかく得た仕事。失ったら、後がない」という崖っぷち感
「上司に疑問を持たない」という受容性
「自分の役割の中で、ベストを尽くす」という責任感
「無駄に欲を出さない(チャンスが来るまで待つ)」という生き方のスキル
「っていうか、オフの日は、たまに楽しく遊ぼう」 

私には、彼らのハングリー感を持ち合わせていなかった。(から、何度も失敗したのかもしれません)

結局、外貨を稼げる国に居続けるために、会社に所属しなければならないし、職を失ってしまえば、彼らの祖国にいる人たちの生活も成り立たなくなります。
2年程度の契約を終えて、祖国に帰ったはずの人も、だいたい1年以内には仕事を見つけて、またシンガポールに来たり、たとえばドバイやアラブに行ったり。

彼らは働き口さえあれば、どんな国でもよくて、どんどん海外に飛び出していきます。そのフットワークも素晴らしく軽やか。人生における優先順位の違いを感じます。

彼らを見ていると、「仕事を選ぶ・・・って、贅沢なのかもしれないな」と改めて感じるのです。

元々根が明るい人たちが多く、子供と一緒に暮らしていないせいか、あまり所帯じみた疲れ方はしていません。写真が大好きで、モデルも顔負けのポーズや表情で写真を撮りまくって、いつも人と集まっており、賑やかで愛らしく、楽しそうに暮らしています。彼らの10年後がどうなっているのか、私にはわかりません。仕事的には、今と同じかもしれません。独身でも、結婚していようが、子供がいようが、チャンスに貪欲で、飛び出す自由があり、どんどん海外に飛び出していく彼らの逞しさには、時々眩しさすら感じるのです。

そんな私は、夜中に起きてしまった子どもをあやしつつパソコンに向かっている始末で、恰好よさのカケラもありません。「子供を育てるために、頑張って働かなきゃー」とか「仕事を失わないように、今の役割で結果出さなくちゃー」という切羽詰まった感は、共通しているかもしれません。地味な人生ですが、失速しないように努めます。

来月は、資格がある専門職で、上手に海外勤務期間をキャリアアップにつなげた方の例をご紹介させていただこうと思います。