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第2回 人は中身のはずだけど

海外就職女子ららら♪ 泣いて、笑って、夢を見て 2014/12/06(土) 10:01

こんにちは。
パソコンの調子が悪いのですが、買替費用をひねり出せずに苦しんでいるAlexです。

「日本でIT系の会社にいました」という20代半ばの美青年が「xxxソフトをダウンロードしてください」「このパソコンはウィルスにかかっています」と親切にアドバイスをくださるので、心地よく従っていたら、結果としてウィルス対策ソフトを二重に購入させられていたり、おすすめソフトをダウンロードした後で一層調子が悪くなったり。

心にビタミンもらったけど、肝心のコンテンツは全然ダメじゃん!

・・・というわけで「不惑の40代」にもかかわらず、煩悩に足元をすくわれる日々を送っております。

さて、今日は「人は中身・・・のはずだけど・・・」という話をしようと思います。

シンガポールで暮らすと、日常的に外国人がいます。顔のつくりは同じに見える中国系でも、中国本土、香港、シンガポール、台湾、マレーシア・・・・と出身国に応じて(本人たちには)違いが際立って見えるようです。
日本人同士でも、違いを感じることがあります。例えば、田舎育ちのAlexは「東京からの転校生」というだけで、とびきり垢抜けて見えたものです。でもシンガポール人から見れば一括りに「日本人って大人しくて、謙虚だし、丁寧だよね」となり、東京か大阪か・・なんて違いは「ソト」の人には認識できませんし、どうでも良いレベルです。
欧米系も、ドイツ人、イギリス人、イタリア人、フランス人、カナダ人、アメリカ人、ポルトガル人、ポーランド人、チェコ人、デンマーク人・・・・って、私には区別もつきませんが、「俺の国では違うんだ」と言い張ります。

多国籍環境が常態になると、友達関係で大事なのは国籍よりも「合うか合わないか」、それだけ。数年かけて仲良くなっていくうちに、「この人は頭がいい」「冗談が好き」「人付き合いがいい」「素直じゃない(笑)」「時間に正確だな」「意思決定が苦手だな」など、その人自身を知ることになります。週末は「朝食どこ行く?」、「市場に買い物に行くなら一緒に行こう」とか、「今日は何時ころプールに行く?」と、チョコチョコと携帯にメッセージが入り、いつも誰かと一緒にユルく過ごしている感じです。

そんな近しい友人の一人に、インターナショナルスクールの先生がいます。彼は、ヨーロッパの小さな国で、人口3000人の小さな村で生まれ、村人の大多数が同じ苗字、爺さん-父さん-息子・・・と男3代みんな同じ名前、先祖が何をしていたかまで知っているような閉鎖的な環境で育ったそうです。彼の家は特に貧しく、3人兄弟と両親で暮らしていたけれど、彼は子供のころから貧しい生活ぶりを嫌い「絶対にここから出て行ってやる」と強く思っていたそうです。13歳の頃「英語を勉強して、将来はインターナショナルスクールの先生になって、世界中どこでも働けるようになろう」と心に決めたと言います。

13歳の少年が英語を勉強するとはいえ、村には塾もなければ「英語なんか何に使えるんだ。学問なんか必要ない」と、父親の理解もない。
「お父さんみたいな人生を送りたくないから、英語を勉強するんだ!」と激しく思った少年は一生懸命勉強して学費の免除を受け、英語を習わせてもらえるようになりました。塾がある街まで、毎週1回、片道1時間、歩いて通ったそうです。村の少年は、その後も成績優秀で、奨学金でロンドンの大学に行く切符を手に入れます。

・・・・もう、この時点でお父さんお母さんには、超自慢の息子。村の神童として一目おかれ、本人も長年そう思っていたそうですが・・・・・もう少し彼のお話は続くのです。

小さな国のさらに小さな村の神童が、大都会のロンドンに出てみると、彼の国籍は「なにそれ?」レベルにショボく、差別(または本人の劣等感)で、いつも割が合わない思いをする羽目になるのです。
長年の夢をかなえてインターナショナルスクールの先生になりましたが、今度は職場でワークグループの委員長になる程度ですら、先生同士が「なんでxx国籍の人がリーダーになるわけ?」と、実力とは関係ない線で分けられてしまう。どんな小さなことでも、自分の居場所を作るのが難しかったそうです。神童は村から出てみたところ、その優秀さと関係のないものと戦わなければならない、と知ったのです。さらに15年経っても、他の人の何倍も努力してようやく部門責任者になることができたものの、その道のりはとても厳しかったそうです。おめでたいことに、先日は「アルメニアのインターナショナルスクールで校長先生をしませんか?」というビッグオファーが来たそうです。

日本にいると、ピンとこないかもしれません。例えば・・・・日本の職場でクリスマス会の幹事をすることになりました。そのリーダーが、例えばフィリピン人だったら、(え?なんでこの人がリーダー?)と、思うのではないでしょうか?(そもそも無言のうちに、リーダーに選ばれないと思いますが)。それが、見えない線なのです。

Alexの経験上、シンガポールの日系企業内かつ日本人同士でも同様。駐在員か現地採用か・・・で、神と蟻のような待遇の差があります。海外で働く・・・というだけで、恰好よく見えることもあるでしょうが、条件面だけで言えば、日本の会社で入社して駐在員として海外で働くに限るよ・・・と提案したいです。Alexは海外生活9年を経た今でも、全然イケてないですし。
ただ、9年前と今で大きく違う点は「あなたと私を分ける線を引きたい人たち」は、いつもいるし、今のところ、この線は私に有利に働いたことはありません。日本人がボスになっても、シンガポール人がボスになっても、ひどいものでした。厳しい事実を受け入れ、欲を出さず、ぶつからずにかわすこと。したたかに生き延びて時間を稼ぐことで、自分に力をつけていくほうが賢明だと学びました。「ここぞ」というチャンスが来た時に、自分のキャリアのためにジャンプできるよう、力を溜めている(つもり)です(笑)

今回は、仲良しのお友達の苦労話や自分の体験を交えつつ「人は中身のはずだけど・・・・・」というお話なのでした。

次回は、子供を実家に預けて海外に働きに出ているフィリピン人について、ご紹介いたしましょう。