キャリア メンター ネットワークは、将来性ある若者のキャリア形成をサポートします

CMN

大人の発達段階

心に「しなやかを」を 2017/11/25(土) 06:54

 

横綱が事件を起こしてニュースとワイドショーで持ちきりですね。真実は分かりませんが、横綱に求められているは、今回紹介する大人の成長段階でいう最高峰の段階でしょう。

この成長段階の事を調べ出したきっかけは、「自分の欲求を満たすために他者を道具のように見なす人」がいるかと思えば、“決まりだから”というようにまるで「自分の意志が無いような人」がいます。このようなことは、個人の性格やパーソナリティだと思っていましたが、実は意識の発達段階の違いによるものだということなのです。


調べてみると、発達段階を次の5段階に分けていることが多いようです。

 

第1段階は、「具体的試行段階」:小学生までによく見られる段階で、大人のみなさんは、この段階は卒業しています。
具体的な物事を頭に思い浮かべて思考できますが、形のない抽象的な概念を扱うことができない段階です。

 

第2段階は、「利己的段階」「道具主義的段階」:中学生から思秋期の年代に多く見られますが、驚くことに成人の10%にも見られるそうです。
自分の関心ある事だけに興味を示し、それ以外の事には見向きもしないというような人はこの段階にいます。また、自分の欲求や関心を満たすためなら、まるで他人を道具のように扱うのもこの段階の特徴です。

 

第3段階は、「他者依存段階」「慣習的段階」:成人の70%に見られるそうです。
利己的な自分の世界から抜け出し、他人の視点で考えられるようになった状態です。しかし、いわゆる指示待ち人間で、自分で決められないため、他者や慣習に従ってしまう人です。

 

第4段階は、「自己主導段階」:成人の約20%に見られるそうです。
他人の視点を持ちつつ、自分なりの価値観や意志決定基準を設けることができています。また、それを他者に伝え、主張します。そして、自立的に行動することができます。

 

第5段階は、「自己変容段階」:成人の1%しかいないと言われています。
この段階に到達すると自分ルールを絶えず更新し、常に新しい価値観や仕事のやり方を実践しています。自分価値観や意見にとらわれることなく、多様な価値観・意見などを汲み取りながら的確に意志決定しています。

 

あなたや周りの人はどの段階にいるでしょうか。パーセンテージは学者によって多少変わってきますが、差は5%~10%ぐらいです。

大人の発達段階 

発達心理学という領域で、3人の有名な学者が同時期に、まったく異なる国で同じような大人の発達段階について研究発表しました。これは偶然では無く、この理論の「真実の裏付けとなる証拠ではないか」と言われています。

 

今回はハーバード大学のロバート・キーガン教授の発達段階を紹介しました。

ポイントは、第5段階にある人は第1から第4段階の人の考え方を理解することができますが、低い段階の人から高い段階の人の考えを理解することができないという点です(例:第1段階の人は第2段階以降の人の考えを理解することができません)
したがって、発達段階がより高ければ、より多くの人の考え方を理解できるということになります。さらにはそれらを組み合わせて新しいものを生み出すことも可能となります。

 

では、自分や身近な人の現在の発達段階が分かったら、次の段階にステップアップするためにどうしたらよいかについて触れましょう。

 

まずは2段階目の人についてです。この段階の人は「利己的段階」で自己中心的な思考をする人です。ヒーロー番組の悪役の「世界征服(自分の欲求)を実現するなら部下は使い捨て」という考え方のようなイメージです。学校や会社でいじめをリードするような人もこの段階にいると言えるでしょう。

この段階の人の最大の課題は、「自分以外の人の目線で物事を見られない」という点です。そのため「周りが自分をどう見ているか」「相手がどんな気持ちになるか」ということを考えようとせず、理解もできません。

もし、自分がこの段階にいると感じる人は、すでに自分を客観視できていますので、もう次の3段階以上に到達しているでしょうから心配はいりません。
一緒に仕事をしている他者がこの段階にいる場合は、「あの人の言ったことの意図はどんなものか分かりますか?」というような質問をしてみると良いでしょう。この質問は、「相手の立場に立って考える」ためのもので、このような考えを繰り返させることで徐々に思考が広がっていきます。

残念ながら、この段階の人がまだ相手の意見をすんなり聞くレベルにありません。しかし、次の段階に行くにはあくまで自分で考え、自分の意見としてまとめてもらう必要があります。

 

第3段階の人は、他者依存段階で、指示待ち人間ですから、自らの意志決定基準をもっておらず「会社のきまりで」「上司がこう言っているので」などという言葉を多用する傾向があります。
次の段階に行くためには、自分の欲求や関心などをより高次元にしていく必要があります。自分でトレーニングする場合は、現在の会社や部門のあり方や仕事のやり方について思っていることをノートに書き出してみたり、同僚などに相談してみるところから始めてみましょう。

他者に働きかける場合は、自分の意見や仕事のやり方を考えるきっかけをつくるために、「~について、どう思う?」「この部分は任せるよ」というようなアプローチが効果的です。これを繰り返すことで、自分で考えはじめ、そのうちに自分の考えを外に出そうとするようになってきます。

 

第4段階になると自己主導段階ですが、負の側面は自己の正義を振りかざす人です。
この段階の問題は「自分ルール」ができあがってしまっているため、「自分が正しい」という思い込みが強くなり、他人の意見を受け入れられなくなる点です。また成功体験に縛られ、新しいやり方を試す勇気を持てないのもこの段階の特徴です。

この段階にある人は一度、今まで取り組んできた仕事を棚卸し、自分以外の人が自分を支えてきてくれたことに気づいたり、自分のやり方の欠点に気づくことです。
「自分が正しい」という自分の強すぎる正義感を実感できれば、自分のルールに柔軟性が生まれてきます。

 

最終ゴールイメージは、第5段階「自己変容段階」です。この段階にいる人は、「自分」を確固たるものとして持っているのではなく、「自分自身は、時間や環境によって変化するもの」と捉えています。
また他人を自分の成長にとって必要不可欠な存在だと考えているため、他人の成長に対しても積極的に取り組みます。何故なら、他者が成長することによって、自らも成長するという認識を持っているためです。
また、他者と価値観や意見を共有し合いながら、コミュニケーションを図っていきます。

これは「才能や能力」ではありません。単に成人としての意識の発達段階が違うということです。