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自己肯定感

心に「しなやかを」を 2018/01/27(土) 00:05

 

もし、自己肯定感が呪縛となっても自分で解けます

トランプ大統領就任1年で、まだまだ話題がつきませんね。大統領就任時から現在もトランプ氏自身は非常に自信に溢れ、「自己肯定感」の塊のように見えます。もっとも、大統領として単なる演出にすぎないかもしれませんが。

この自己肯定感とは、Self-esteemという英語の翻訳で「自尊心」と訳している場合もあります。その意味は、「自分自身を自分が価値ある人間であると感じる・考えている」という自己認識です。

「自分を価値無い人間なんて思っている人いる?」と感じる方、あるいは、「そんなことをいちいち考えた事も無い!」という人は、自己肯定感が高い人かもしれません。

自己肯定感の高い人は、自分の成功体験をより強く認識し、逆に、失敗体験をあまり認識しないという特徴があります。その結果、自信に満ちた態度を取り、行動的な人となります。この点で、トランプ大統領の態度や発言は、自己効力感の非常に高いものに見えます。しかし、高すぎる自己肯定感は、我儘で鈍感な人に写り、「自身に満ちた態度を取り続ける」よう自分自身に無理を強いることがあります。

一方、自己肯定感の低い人は、どこか自身が無く、精神的に不安定になりやすくなります。これは、おどおどしているという意味ではなく、普段は何ら問題なく普通の態度です。むしろ快活で明かるい人の場合もあります。それが何らかの出来事をきっかけに、急に防衛的な行動を取ったり、新しいことに今一歩踏み切れない態度を示したりすることがあります。

そして、自己肯定感は、自縛や呪いのように無意識のうちに自分の思考や行動を規制してしまうこともあります。

自己肯定感

 

例えば、洋画のヒーローもので、主人公が挫折したときに「俺なんか価値が無い人間だ」というセリフを言うシーンがよく出てきます。古くはロッキーやスパイダーマンでそのようなシーンを見たことがあります。

昨年話題になった「逃げるは恥だが役に立つ」のドラマの主人公である平匡(ひらまさ)は、自己効力感が明らかに低いものなっています。(テレビ版ではちょっと分かりくいかもしれませんが原作アニメでははっきりと)ストーリーの初期で、平匡が「自分自身が愛されるほど価値があるとは思えない」という自分の思考によって、折角近くなったみくりと必要以上に距離を置こうとしてしまします。これは、「自分は価値ある人間でないので、今は良くとも、先々みくりさんからは、愛されなくなる」という本人の考えによるものです。

一般的には、プロポーズされた時に「私なんかで良いの?」とか「私にはあなたはもったいなさすぎる」という言葉を言うのと同じ発想です。

この自己肯定感は、「自分で自分をどう考えているか」によって決定します。したがって、「他者がどのように認識しているか」とか「客観的にどうなっているか」ということは関係がありません。

自己肯定感は、過去の自分の体験から形成されていきます。もっと正確に言えば、「自分の過去の経験の認識やその解釈」によって形成されます。そのため過去の経験自体は変えられないかもしれませんが、その解釈は変えることができます。したがって自己肯定感も自分で変えることができます。

では、まず最初に、「自分は価値ある」とか「自分は価値が無い」ということについてどのように自分で感じていますか?

次に、「自分に価値がある/価値が無い」の「価値」とはどのようなことでしょうか?

よくあるのが「自分は優秀でない」「有能ではない」という基準で考えるパターンがひとつあります。要は、自分を「使える奴」か「使えない奴」という観点で見るということです。

これは、以前紹介した一般性自己効力感と同じ概念です。

中には、自分が「有能かそうでないか」は、「あまり重視しない」「あんまり考えたことが無い」という人もいます。ところが、この「有能性が命」という人がいるのも事実です。どちらにしても、この有能性(自己有能感)は、自分の価値を決める一つの要素です。

他の要素として「自分は重要に思われている」という基準があります。恋人同士や夫婦間で「私と仕事とどっちが大事?!」ということを追求するケースがありますが、これは質問をぶつけた本人の「自分を重要で価値ある人間と考えてほしい」という欲求の表れです。本当は、相手に認められることで「自分が自分を重要だと再認識したい」という気持ちの表れの可能性が高いです。しかし、相手がどのように応えても「自分で自分を重要だと思えない」場合、二人の関係は破綻していくことになります。

他には、「人から好かれているかどうか」とか「人に受け入れられているかどうか」という基準があります。この本質は「自分が自分の事を好きかどうか」です。テレビのバラエティ番組を見ていると、出演者の中に「自分が大好きな人」を良く見受けます。どんなにイジられても、天然で、本音。そしてオープンに対処(自己開示)して、雰囲気をポジティブに転換してしまう人達です。

この逆が、自分の事を自分が好きでない場合です。「他者も同じように自分を嫌うだろう」から、自分の本当の姿を見せないようにするために、人と心理的に近づかず、距離を置くという態度をとる傾向が出ます。

他にも「自分が価値ある/無い」と考える基準はあるでしょう。いずれの場合も、自分を価値あるものと考えるという自己肯定感は、自分で形成しています。極めれば、他者があなたをどう思おうが、それとは関係なく「自分が自分をどう思うか」を決めることができます。ですので、自己肯定感の呪縛がある人は、自分でその呪縛から解放できるのです。

 

自己肯定感